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人工呼吸器

筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)などにより呼吸不全が起こると、低酸素状態から昏睡に陥る危険性も生じます。そのため、人工呼吸器でのサポートが必要となります。

人工呼吸器の装着方法

気管切開を施して人工呼吸器を装着する「侵襲的人工呼吸療法」と、気管切開はせず、鼻マスクやマウスピースなどのインターフェースを用いて人工呼吸器を装着する「非侵襲的人工呼吸療法」 があります。近年では、状態が良ければ、後者の装着方法が選択される例が増えています。

土屋竜一の場合

ある朝、急に息がしにくくなりました。病院で検査すると、血中の飽和酸素濃度が75%まで落ちていました。ガス交換が不全となり、二酸化炭素が吐き出せなくなる「CO2ナルコーシス」でした。慌てたナースが酸素吸入機を取り付けた途端、意識を失ってしまいました。

目が覚めると、バイパップ(BiPAP:非侵襲的人工呼吸器)に鼻マスクでつながれていました。当初は気管切開の方向で話が進められたようですが、呼吸器専門の内科医が、歌手の命である「声」を守りたいという母の希望に答えてくれたのです。バイパップの装着によってガス交換がうまくいき、退院後、コンサートを開くまでに回復しました。

一旦は収まった呼吸不全ですが、2年後にぶり返しました。夜間だけのバイパップ装着が一日中となり、それでも足りずに「船漕ぎ」の呼吸に。さらに2年後、気管切開の手術を受けることになったのです。気管切開後は、陽圧式人工呼吸器のLTV950 plus(注1)に移行しました。

「呼吸器外れ」の防止策

人工呼吸器はめったに故障するものではありません。たとえ不具合が生じても、業者の緊急対応で何とかなるでしょう。それよりも呼吸器回路の取り扱いによる「呼吸器外れ」が怖いです。回路がきちんと固定されていても、気管カニューレと呼吸器回路のジョイント部分が、ポンと抜けてしまうことがあるのです。この事故で命を落とす人もいます。これを防止するため、土屋竜一は「ループタイで固定する」方法を考えました。

痰の吸引

気管切開後、人工呼吸器を接続する気管カニューレが差し込まれます。その外的ストレスによって、痰の分泌が極端に増え、頻繁に吸引作業(サクション)をしなければならなくなります。しかし、痰が取りやすくなることで、感染や窒息などの心配が減るメリットもあります。

2010年夏、人工呼吸器患者とその家族の悲願だった「自動吸引装置」が、ついに発売になりました。土屋竜一も率先してこれを導入し、便利に使っています。こちらの特設ページをご覧ください。

人工呼吸器販売メーカー

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人工呼吸器の使用者、家族のネットワーク

人工呼吸器の使用者、またその家族のための情報交換の場となるネットワークがあります。下記リンク先をご参照ください。