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筋ジストロフィー

筋ジストロフィーは、全身の筋肉が徐々に萎縮していく病気です。最近では対症療法や呼吸サポート技術によって、かなりの延命が可能になっています。また、原因の解明によって、遺伝子治療をはじめとする様々な治療法が考案さています。しかし、根治にいたる治療法は未だ確立されていません。

筋ジストロフィーの種類

デュシェンヌ型筋ジストロフィー (Duchenne Muscular Dystrophy)
悪性といわれるデュシェンヌ型は、幼少時に発症します。病気の進行とともに四肢と背骨が変形し、歩行が困難となります。坐位保持も難しくなり、次第に呼吸器機能や循環器機能も低下します。呼吸不全や心不全を起こしやすいのも特徴です。デュシェンヌ型の原因は、筋肉の細胞膜を形成するジストロフィン(蛋白質)の欠損による筋細胞の破壊。ジストロフィン遺伝子はX染色体にあるため、男児のみ発症します。女性は保因者となり、男児を産む時に50%の確率で発症するといわれています。

ベッカー型筋ジストロフィー (Becker Muscular Dystrophy)
デュシェンヌ型と並んで頻度の高いベッカー型。デュシェンヌ型と同じくX染色体に存在するジストロフィンの異常によるものですが、発症が遅く、その後もゆるやかな進行をたどるタイプです。良性デュシェンヌ型と呼ばれる場合もあります。

肢帯型筋ジストロフィー (Limb-Girdle Type Muscular Dystrophy)
肢帯型は常染色体劣性遺伝。10代から20代で発症し、上下肢(肩や腰周辺)の近位筋から萎縮を始めるのが特徴です。進行は緩やかですが、デュシェンヌ型同様の重症化を見せる場合もあります。

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (Facio-Scaplo-Humeral Type Muscular Dystrophy)
常染色体劣性遺伝により10代で発症し、顔面や肩甲部、上腕を中心に障害の現れる筋ジストロフィーです。ことに顔面筋の低下は表情の障害として現れます。病状としては緩やかな経過をたどりますが、進行すると下肢にも筋萎縮が見られることがあります。

先天性筋ジストロフィー (Congenital Muscular Dystrophy)
常染色体劣性遺伝によるもので、生後間もなく発症します。このタイプで患者数の最も多いのは福山型。福山型では中枢神経系の細胞にも異常が見られます。他にメロシン欠損症、インテグリン欠損症、ウールリッヒ型などの種類があります。

その他
筋ジストロフィーは筋肉の破壊が生じる疾患を総称するものです。したがって多種多様の型が存在します。上記の他にも、遠位型ミオパチー、筋強直性ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィーなどが挙げられます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)との違い

筋肉そのものにその原因のあるものが筋ジストロフィーで、筋肉を司る神経(運動ニューロン)にその原因のあるものが筋萎縮性側索硬化症です。両者、症状はよく似ていますが、まったく別の病気ということになります。

筋ジストロフィーと闘う人々

山田富也さん
日本では、山田富也さんが有名です。兄弟の三人ともデュシェンヌ型筋ジストロフィーという環境の下、20歳で自立し結婚。兄弟と共に福祉施設の「ありのまま舎」を設立。本の執筆、講演、テレビ出演などのほか、映画製作、そして社会運動にいたる大活躍をされました。2度の結婚でお子さん3人!土屋竜一は少年時代から私淑し、目標にしてきたリーダーです。残念ながら、2010年9月にお亡くなりになりました。20〜30歳が平均寿命といわれるこの病気で、58歳まで存命する快挙でした。

春山満さん
春山満さんは、カリスマ社長としてあまりにも有名です。20代前半で筋ジストロフィーを発症。苦労の末に福祉機器メーカーを起業しました。病気の進行と闘いながら、会社運営はもとより、本の執筆やテレビ出演、全国での講演活動などを盛んに行っています。発明家でもあり、自動で寝返りをさせてくれるベッドや、独自方式の褥創防止クッションなどを次々に開発。介護、療養のためのリゾートタウンを作ったことでも知られています。この人も、土屋竜一が目指すリーダーです。